2017.6.6 KIP 6月イベント「韓国の教育システムにおける問題:果たしてこれが韓国の学生のための最善か」
ソ・へジュン氏:東京大学文学部3年。韓国出身のKIP留学生メンバー。

ソ・へジュンさん:韓国出身のKIP留学生メンバー。カナダ留学の経験があり、中学・高校時代を韓国でもっとも教育熱が高いソウルで過ごした。現在東京大学文学部3年で社会心理学を専攻。

本フォーラムは二部構成となり、前半はソ・へジュンさんのご講演と質疑応答、そして後半は講義を踏まえて、「韓国の”スヌン”のようhigh-stakes testingはなくなるべきか」をテーマに設定し、学生同士で英語ディスカッションを行いました。

ソ・へジュンさんが説明していただいた内容は以下のようになります。現在、韓国は元大統領であったパク・クネ氏の弾劾や新しい大統領のムン・ゼイン氏の当選により、政治・社会的変動期を迎えており、政治・経済の透明性・経済発展・安保などの社会問題に対する国民の関心が極めて高くなっています。韓国の出生率はOECD最下位の1.2%であり、日本と同じく少子高齢化社会に向かっている上、男女格差の問題や財閥、軍隊、高い失業率などの特殊な問題も抱えており、これらの社会問題が複合的に韓国の教育システムに影響を与え、過剰な「受験戦争」を作り出しているとみられています。

英語学習の異様なブームや早期留学、深夜まで続く塾などの現象は、韓国の学生が「良い大学に入学するため」全てを尽くさなければならない現状を示唆しています。特に、韓国では上位の大学が首都のソウルに偏っており、地方の大学では学生が不足する現象もみられています。このように、実際にその「受験戦争」を経験したソ・へジュンさんの経験とその間の苦労が伝わる、とても響きのあるスピーチでした。 その後の質疑応答の時間では、韓国の学生の課外の活動についての質問や、韓国独特の様々な高校の制度・分類についてもご自身の経験からご説明いただきました。

後半は、韓国の教育システムの中でももっとも話題になっている受験戦争に関するテーマである、「韓国の”スヌン”のようなhigh-stakes testingはなくなるべきか」についてディスカッションを行いました。殆どの班ではhigh-stakes testingを廃止することに賛成し、それぞれの班から自国の教育制度との比較を通じた洞察力のある解決法を提案してくれました。特に、ソウルだけに学生が集中することを解決するためにそれらの大学の定員を増やす方案や、「スヌン」の負担を分散させるためSATのように試験を数回受験できるように変更するなどの具体的な提案をいただくことができました。

6月KIPイベントは、日本とは異なる韓国の教育システムについて洞察し、教育の重要性や、真に「学生のためになる」教育とはどのようなものかを再び考えさせられるとても貴重な機会になりました。

(キム・ジス)

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